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AIJ問題
2012/03/26(Mon)
公認会計士として「AIJ問題」に触れないわけにはいきません。
現時点では不透明な部分が多すぎますが、テレビや新聞で報道されていることが事実であれば、あまりにも酷い詐欺事件です。


投資で損をすることはプロでもよくあることですが、損失を繰り返して元本までなくしてしまうのはプロではありません。
しかし、元本がゼロになっても自称プロは責任を取ることはありません。
理不尽ではありますが、プロとしての力量を見抜けなかった委託者の責任になるのです。


今回の問題はそんなことではありません。
彼らは運用成績を偽っていたのです。
つまり、プロとしての力量を実際よりも極端に良く見せかけて資金を集めていたということです。
少しでも運用成績の良い投資顧問会社に運用を委託したいという委託者の気持ちにつけこんだ卑劣な犯罪行為です。


残念なことに、運用成績を偽るに際して、公認会計士が虚偽の監査報告書を作成していたという報道もあります。
事実であれば、関与した公認会計士もただでは済まないと思いますが、やはりお金をもらっている会社を監査するということには無理があります。
公認会計士協会が取り組んでいる職業倫理の強化や監査の品質管理では解決できない問題ではないかと思います。


信和綜合会計事務所(大阪市中央区の税理士法人)
http://www.shinwa-ac.net/
税理士をお探しの方がいらっしゃいましたら、信和綜合会計事務所に是非ご紹介ください。


遺言執行者
2012/03/19(Mon)
先日、遺言執行者としての業務を行ってきました。


遺言執行者とは、文字通り、遺言を執行することを遺言書で指定された者です。
恥ずかしながら最近までよく知りませんでしたが、遺言執行者に弁護士資格など特別な要件はなく、誰でも指定できるようです。
ただ、一般的には相続人の一人が指定されているケースが多いようです。


今回は、私の祖母の遺言で私が指定されていたのですが、初めての経験でした。
それ故、あまり気が進まなかったのですが、手続自体は金融機関に指定されたものを準備するだけでしたので、それほど難しくはありませんでした。


しかし、一つ困ったことがありました。
遺産がいったん私名義の預金口座に入金されるというのです。
仕方なく、その金融機関で新たに口座を設けて入金を受け、遺言書に記載された金額を各相続人に振り込みました。


仕事柄、人のお金自体を預かることには慣れていませんので、気を遣います。
やはり、こういう業務を第三者に依頼する場合には、弁護士が最も相応しいと改めて感じました。


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実質返戻率に問題がある理由
2012/03/12(Mon)
先週のコラムの記事について、お客様から質問を受けました。
「なぜ実質返戻率に意味がないの?」と。
お答えします。


用語の説明から始めます。
解約返戻率=保険の解約返戻金/保険料の累計
この返戻率には単純返戻率と実質返戻率という考え方があります。
まず、単純返戻率は上記算式の分母の保険料を実際に支払った保険料で計算します。
これに対し、実質返戻率は保険料の損金算入による法人税の節約額を控除して計算します。
例えば、
全額損金算入の保険料:100万円(年間)
5年後の解約返戻金:300万円
法人税率:40%
の場合、
単純返戻率=300万円/100万円×5年=60%
実質返戻率=300万円/(100万円−100万円×40%)×5年=100%
となります。


以上を踏まえて、設例で考えます。


<保険を利用しない場合>
・経常利益200が8年続く。
・5年目に500の役員退職金が発生する。
・法人税率40%
   所得 法人税
1年目 200  80
2年目 200  80
3年目 200  80
4年目 200  80
5年目△300   0(欠損金300発生)
6年目 200   0(欠損金200控除)
7年目 200  40(欠損金100控除)
8年目 200  80
合計 1100  440
8年間の資金収支1100−440=660


<全額損金算入の保険を利用する場合>
・経常利益200が8年続く。
・年間100の全額損金算入の保険に5年間加入
・5年後に解約返戻金300(実質返戻率100%)
・5年目に500の役員退職金が発生する。
・法人税率40%
   所得 法人税 
1年目 100  40
2年目 100  40
3年目 100  40
4年目 100  40
5年目△100   0(欠損金100発生)
6年目 200  40(欠損金100控除)
7年目 200  80
8年目 200  80
合計  900  360
8年間の資金収支900−360=540


資金収支では、保険を利用する場合と比較して保険を利用しない場合は120も有利となっています。
節税したつもりが会社の資金を減らす結果になるのであれば、完全に本末転倒です。
では、実質返戻率100%といいながら、なぜこのような差が発生するのでしょうか?
それは、実質返戻率という考え方には、保険料支払時の税効果は考慮されているが、解約時・解約後の税効果が考慮されていないという致命的な欠陥があるためです。
なお、保険を利用する場合が有利になるのは、単純返戻率が100%を超える場合に限られますが、そのような保険は殆どないのではないかと思います。


私は保険が駄目と言っているのではありません。
「保険で節税」という安易な考え方に問題があると思うのです。
経営上の様々なリスクに備えるため、保険は必要な「保障」の度合いに応じて加入すべきものではないでしょうか?


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がん保険の改正
2012/03/05(Mon)
以前から噂はありましたが、法人税の節税(?)に利用されてきた「がん保険」に、国税庁は待ったをかけるようです。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410240007&Mode=0


どのように取扱が変わるのかは通達が公表されてからお伝えするつもりですが、節税(?)をセールストークにして保険を売っていた人には大きな影響があると思います。
何度も節税(?)と書きましたのは、私はがん保険の利用が本当の意味での節税にはなっていないと考えているからです。


終身保障タイプのがん保険については、以前は基本的に全額損金算入が認められていました。
それ故、このような保険を利用することにより、法人の利益を圧縮して法人税を少なくすることができました。
しかし、数年後に保険を解約した時には、解約返戻金の全額に対して法人税が課されることになります。
つまり、保険を使った節税というものは課税を先送りしているにすぎず、長い目で見ると法人税は減少していないのです。


保険を売る人は、保険の解約に合わせて役員退職金などの損金を計上することにより、法人税を発生させないことができると主張します。
確かに、役員が退職する事業年度に役員退職金という大きな費用だけが発生すると大きな当期損失となりますので、それを防ぐために保険を利用して業績を平準化することの意義は認めます。
しかし、本当に法人税が減少しているのでしょうか?
答えは「否」です。


設例で考えます。


<がん保険を利用しない場合>
・経常利益200が8年続く。
・5年目に500の役員退職金が発生する。
・法人税率40%
   所得 法人税
1年目 200  80
2年目 200  80
3年目 200  80
4年目 200  80
5年目△300   0(欠損金300発生)
6年目 200   0(欠損金200控除)
7年目 200  40(欠損金100控除)
8年目 200  80
合計 1100  440


<がん保険を利用する場合>
・経常利益200が8年続く。
・年間100のがん保険に5年間加入、5年後の解約返戻金500(単純返戻率100%)
・5年目に500の役員退職金が発生する。
・法人税率40%
   所得 法人税
1年目 100  40
2年目 100  40
3年目 100  40
4年目 100  40
5年目 100  40
6年目 200  80
7年目 200  80
8年目 200  80
合計 1100  440


もはや問答は無用かと思います。
長い目で見た場合には、法人税は絶対に減少しません。
また、設例の場合は単純返戻率が100%ですので社外に資金の流出はありませんが、100%を下回る場合は社外に資金が流出します。
つまり、単純返戻率で100%を超えないと、保険事故が発生しない限り、元は取れないということになります。
それが保険という契約の本質であり、保険を売る人が良く使う「実質返戻率」という用語には意味がないのです。


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