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独立性

7月より、某大手監査法人が2ヶ月間の業務停止となります。
私も、以前お世話になった監査法人ですので、複雑な心境です。
何とかこの難局を乗り越え、立ち直ってもらいたいと祈念しています。

そもそも今回の処分は、カネボウの粉飾決算に関し、関与社員(監査の責任者)が単に粉飾を見逃しただけでなく、不正な経理操作に加担したことが原因です。その結果、監査制度の信頼性を著しく低下させたのですから、厳重な処分も致し方ないと思います。
ただ、なぜこのような事件が発生してしまったのでしょうか?
それは会社(監査される側)と監査法人(監査する側)との特殊な関係に原因の一端があるのではないかと思います。
監査は本来、会社とは「独立」の立場にある外部者が行うべきものであり、そうでなければ社会から信頼されないはずです。
しかし現実には、法定監査を担当するすべての監査法人は、監査される側である会社から監査報酬を得ています。また、監査法人間での関与先獲得についての競争、会社との監査報酬の金額についての交渉なども当然に発生しています。
このような状態で、監査する側とされる側の間に、経済的な独立性が保持されていると言えるのでしょうか?
公認会計士協会は、職業倫理の保持についての取り組みは積極的なようですが、この経済的独立性の保持についての取り組みは不十分な気がします。
監査は誰の為のものなのか?どういう仕組みにすれば社会の信頼を得ることができるのかについて、もっと真摯に考えるべきだと思います。
そうでなければ、同じような事件を繰り返すことになるかもしれません。

大阪市中央区の信和綜合会計事務所
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