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出向者に対する役員給与

出向とは、企業に在籍したまま、別の企業に出向いて勤務することを言います。
その中でも、親会社から子会社や関連会社などに出向するケースが多いように思います。
出向が行われる場合、出向者は出向先で勤務しているにもかかわらず、出向元で給与が支給されることになります。同時に、出向先法人は、出向元法人に対して出向者の給与に見合う「給与負担金」を支払うことが慣行となっています。

税務上は、このような給与負担金は、出向先法人がその出向者に対して支給する給与として取り扱われます。
また、出向者が出向先法人で役員となっている場合は、出向先法人がその出向者に対して支給する役員給与として取り扱われます。
なお、子会社に出向する場合などには、親会社に対し、「経営指導料」という名目で、実質的に給与負担をする場合がありますが、これも上記の「給与負担金」に含まれます。

このうち特に、役員給与となる給与負担金については、留意する必要があります。
現行の税法では、役員給与のうち、法人所得の計算において損金算入されるのは、「定期同額給与」・「事前確定届出給与」等に限定されています。
その考え方を受けて、役員給与となる給与負担金について、損金算入されるためには以下の二つの要件を満たすことが要求されています。(法人税基本通達9-2-46)
①株主総会等で、給与負担金の額について役員給与として決議されていること。
②出向契約等で、出向期間・給与負担金があらかじめ定められていること。

個人的には、上記の要件を満たさないだけで税務当局が損金算入を否認するのはどうかと思いますが、該当する会社は、念のため、必要な決議と書類の整備をしておいたほうが良いでしょう。

信和綜合会計事務所(大阪の税理士事務所)
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