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ふるさと納税の功罪

平成30年も終盤となり、ふるさと納税を駆け込みで考えておられる方も多いかと思います。

ふるさと納税制度は地域振興を目的として、納税者の実質的な負担をほとんどなくして、応援したい自治体に寄付ができるという制度です。
しかし、返礼品が実質タダで貰えるということばかりが注目され、ふるさと納税専門のサイトもたくさん存在しています。

その結果、自治体間では税収の分捕り合戦が行われてきました。
中には、寄付金額に対して5割を超える返礼品を売り物にしたり、その地方の特産品でもないものを返礼品としたりと、やりたい放題の状況でした。

先日、総務省はふるさと納税の趣旨から逸脱した自治体に自制を促すため、以下の基準を通知しました。
・返礼品は寄付金額の3割までとする。
・返礼品は地場産品に限る。
この基準に適合しない場合は、ふるさと納税の対象から除外することも検討する。

これに対し、大阪府のある自治体は記者会見まで開き、反論しています。
・国が勝手に方針を決めてよいのか!←国が決めた制度です。
・地場産品がないところはどうするの?←本当にありませんか?
・税収が減るじゃないか!←税収を分捕るための制度ではない。
残念ながら、その自治体の言い分には全く共感できる部分はなかったです。

ふるさと納税には賛否両論があります。
単純に高いものより、大量生産された安い製品や外国産の安い食品のほうが消費者には選択されやすいのは当然のことです。
しかし、ふるさと納税により、人知れず愚直に品質にこだわってきた生産者や彼らが作る良いものにスポットライトが当たることには大きな意味があると私は考えます。
良いものには、それを実際に経験してもらわないと伝わらない部分があるのです。

悪い点は修正しながら、今後も国が費用の一部を負担する実質的な「公共事業」として続けてもらいたいものです。

平成30年11月
原昇平