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税理士会の挫折

「公認会計士や弁護士に無条件で税理士資格を付与させたくない。」
数か月前に、税理士会が新聞広告を出してまで訴えた悲願でしたが、あえなく挫折したようです。

日本税理士連合会は以下の内容で合意したようです。
(以下は日本公認会計士協会理事小見山満氏の文章を引用)
・公認会計士はそのまま税理士になれる。
・公認会計士になる過程は全く変わらない。
・実務補修所の研修の一部を国税審議会の指定の研修とする。
・実務補修所の研修は国税OBの研修と異なり、国税審議会の検証を受けない。
・研修が指定されるのであり、個々人は国税審議会で合否判定されない。
・日税連は更なる見直しを求めない。

実務補修所とは、公認会計士試験合格者が公認会計士となるために必ず受講する研修の実施機関であり、現在でも租税法に関する研修を行っていることから、実態に何ら変更がないような結末でした。

そもそも、ドイツを除く欧米の先進国には日本の税理士のような資格はなく、公認会計士の資格しかないのです。
そして、公認会計士は独占業務である「監査業務」だけでなく、当然に「税務業務」を行うことができます。
いやそれ以前に「税務業務」は独占業務ではなく、誰でも報酬を得る目的で税務業務を行うことができるのです。
怪しげな人に依頼して過大申告による損害や過少申告による加算税・延滞税の賦課を受けても、それは怪しげな人に依頼した人の自己責任となる。
それが国際標準です。

TPP協議が進み、アメリカが本気で税務業務の自由化を求めてくることも十分にあり得ます。
そうなると、「税理士」という資格制度が崩壊してしまう可能性もあるのです。
そんな時に、このようなバカなことを主張していた税理士会執行部には呆れるばかりでした。
それ以前に、私たちが納めた会費をバカな新聞広告などに使わないでほしいです。

ただし、税理士の能力担保を図ることには賛成です。
例えば、毎年、全税理士が一斉に更新試験を受け、上位60%のみに3年間の更新を認め、下位40%は保留とする。
そして、3年間連続して下位40%の者については資格を永久に剥奪する。
全く何の試験も受けずに税理士になっている者も多い現状を考慮すれば、これくらいが妥当でしょう。

少し過激になってきましたので、この辺でやめておきます。


税理士法人信和綜合会計事務所(大阪市中央区)
http://www.shinwa-ac.net/