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婚外子の相続分

民法900条4号ただし書には以下の文言があります。
「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、」

相続分とは遺産の取り分という意味です。
現行の民法では、上記の規定により、「法律的に結婚した男女間の子」と「結婚していない男女間の子(例えば愛人の子)」では、相続分は2:1とされてきました。

(設例)
夫が死去(遺産は6000万円)
相続人:妻、長男、次男、愛人の子

(現行の民法規定による相続分)
妻:3000万円(1/2)
長男:1200万円(1/5)
次男:1200万円(1/5)
愛人の子:600万円(1/10)

しかし、先日、最高裁判所はこの規定が憲法違反であり無効であるとする判断を下しました。
つまり、「法律的に結婚した男女間の子」と「愛人の子」の相続分は同じとすべきとの判断が下されたのです。
今回の判断は過去に決着済みの相続には適用されないようですが、政府は上記規定を削除する方向で民法の改正を行うそうです。

(民法改正後の相続分)
妻:3000万円(1/2)
長男:1000万円(1/6)
次男:1000万円(1/6)
愛人の子:1000万円(1/6)

ちなみに、この判断については国連などから格差是正を勧告されてきたことも一因かと思いますが、私は強い違和感を感じます。
晩婚化・少子化により人口減少が切実な問題となっているのに、どうして結婚制度の崩壊につながりかねない判断を下すのか?
聞くところによると、参加した14人の裁判官が全員賛成したそうですが、私は理解に苦しみます。

残念ながら、民法の改正はほぼ確実ですので、相続対策の練り直しが必要な方は早急に対応した方がよいと思います。


税理士法人信和綜合会計事務所(大阪市中央区)
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