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悪しき税制の廃止

年末に平成22年度税制改正大綱が閣議決定されました。
主な改正内容は以下の通りです。

<法人税>
①特殊支配同族会社の役員給与損金不算入制度の廃止
②グループ法人税制の見直し
<所得税>
③扶養控除の縮減
(15歳以下は廃止、16歳~22歳は63万円から38万円に圧縮)
<贈与税>
④住宅資金贈与の拡充

特に①は愚かな税制でしたので廃止されて当然です。
(平成22年4月1日以後に終了する事業年度から廃止)
この制度は、実質的に出資も経営も社長(または社長一族)だけの会社について社長の給与所得控除を実質的に認めないという制度でしたが、公約どおり廃止されたことに拍手を贈りたいと思います。
↓以前の記事↓
http://www.shinwa-ac.net/cgi/blog/archives/20.html

ただし、「税制改正大綱」では、「二重控除の問題を解消するための抜本的措置を平成23年度税制改正で講じる」されており、不安感が残ります。
この「二重控除」とは、役員給与を法人段階で費用として計上して損金に算入する一方、その役員給与を受け取った個人段階では給与所得控除を受けることだそうです。

しかし、どこが二重控除なのでしょうか?
控除は個人段階の一回だけのはずです。
例えば、社長給与控除前の利益1000万円・社長給与600万円の会社の場合を考えましょう。
この場合、課税される所得(もうけ)は
法人400万円(1000万円-600万円)
個人426万円(600万円-給与所得控除174万円)
となり、控除されたのは給与所得控除174万円の一回だけなのです。

この点について、個人事業を営んでいる場合との不均衡を是正することが必要という人もいますが、なぜ必要なのでしょうか?
個人事業が不利だと思えば、会社を設立して法人事業に転換すればよいのではないかと思います。
むしろ、役員・従業員に関係なく、給与所得控除の水準が高すぎることの方が問題ではないのでしょうか?

②と④は次回以降に紹介することにします。


信和綜合会計事務所(大阪の税理士法人)
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