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交際費課税(Ⅱ)

税務調査で問題とされる項目のうち、最も頻度の高いのが交際費課税です。
つまり、支出した費用が交際費に該当するか否かと言う問題です。
会社側では交際費と認識していなかった費用について、税務調査により交際費と認定されると、交際費はその全部または一部が損金の額に算入されませんので、追徴税額が発生することがあるのです。

ではなぜこのような交際費認定が頻繫に行われるのでしょうか?
税務当局側が調査の際に見つけやすいというのもひとつの要因ではあると思いますが、その最も大きな原因は「交際費の範囲」が明確でないことだと思います。

前回のコラムでも書きましたが、交際費課税の根拠が冗費(ムダ遣い)の抑制にあることから、「ムダ遣いの範囲」を設定する必要があります。
しかし、「ムダ遣い」は抽象的な概念であり、その範囲を明確にすることは容易ではありません。
その結果、法令や通達でも、交際費に該当するもの・該当しないものの例示とその考え方を示すことしかできないのです。

また、例示の仕方にも問題があります。
例えば、交際費から除外される福利厚生費として以下のような規定があります。
「もっぱら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用」
例示の中に、抽象的な「通常要する費用」と言う表現が使われているのです。
「社会通念上妥当と考えられる水準以下の金額」という意味だそうですが、どの程度までなら「通常要する費用」に該当するのかと言う質問には、誰も明確に答えることができないのです。

正直に言いますと、私たち税理士も判断に苦しむことがあるのです。
今後、不定期ですが、交際費課税について問題になりやすい事項や間違いやすい事項について、採り上げたいと思います。


信和綜合会計事務所(大阪の税理士法人)
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