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会計方針の変更(Ⅱ)

減価償却方法の定額法や定率法のように、複数の会計方針が認められている場合などでは、事業年度ごとに会計方針を変更すると、期間ごとの経営成績の比較が困難になります。
それだけでなく、会計方針の変更を無制限に認めると、利益を出したいときには減価償却費が少なくなる方法を採用するという「利益操作」が可能となってしまいます。

そこで、「企業会計原則」は、原則として、会計方針は毎期継続して適用することを定めています。
このことを会計用語で「継続性の原則」といいます。

この継続性の原則にも例外があります。
具体的には、「正当な理由」がある場合です。
つまり、正当な理由がある場合に限り、会計方針の変更が認められるのです。

それでは、正当な理由がある場合とは、どういう場合なのでしょうか?
これに関しましては、実は判断が非常に難しい問題なのですが、実務上は、非常に限定的に考えられています。
誤解を恐れずに言いますと、会計方針を変更することにより、より経済実態に近い処理になる場合は、正当な理由があるとされています。
例えば、有形固定資産の価値低下の期間推移が、定額法償却額よりも定率法償却額に近い場合には、定額法から定率法への会計方針の変更は、正当な理由があると認められるのです。

また、法令の改正や会計基準等の改正などにより、会計方針を変更する場合も、正当な理由があるものとされています。

なお、会計方針の変更がある場合には、会社法上の計算書類では、個別注記表に、以下を注記することになっています。
①会計方針を変更した旨
②変更の理由
③変更が計算書類に与える影響
(会社計算規則132条2項)

信和綜合会計事務所(大阪の税理士事務所)
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